
この記事では、法人ETCカードを発行する際に読んでおくべき情報をまとめています。
コーポレートカードとETCカードの関係をまとめているほか、各カード会社が発行するカードの違いや特徴も解説。
さらに、NEXCOが提供する『ETCコーポレートカード』の割引率や、選び方のポイントも紹介しています。
コーポレートカードとETCカードにまつわる情報をお探しの経営者様や、なるべくお得に導入したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
コーポレートカードとETCの関係とは
まずはコーポレートカードとETCカードの関係を整理してみましょう。- ・コーポレートカード…大企業向けの法人用クレジットカードのこと
- ・法人用ETCカード…法人用クレジットカードに付帯する形で発行できるカード
法人用クレジットカードで作れるETCカード

こちらでは、コーポレートカードの発行会社ごとのETCカードの特徴をまとめます。
三井住友カード
三井住友コーポレートカードに付帯してETCカードを発行する場合、年会費無料(※個人システム型の場合は有料)でETCカードを利用できます。三井住友コーポレートカードで法人用ETCカードを発行する場合、決済方式により発行可能枚数が変わってきます。
- ・会社決済方式…1枚に対して複数枚を発行可
- ・個別決済方式…1枚に対して1枚を発行可
そのどちらを選ぶかによって、ETCカードの発行パターンが違ってくるんですね。
どちらの発行パターンが適しているかは企業によって変わってきますので、貴社に最適な発行パターンをご検討ください。
JCB
JCBコーポレートカードの場合、「ETCスルーカードN」という法人向けのETCカードを発行可能です。年会費無料で複数枚発行できるので、数十枚単位などETCカードを大量発行したい経営者様にも最適。
さらにJCBコーポレートカードを導入している大企業であれば、ETCカードに法人名だけでなく、利用者の氏名や社員番号、車両番号などを刻印可能。管理が容易になるメリットもあります。
アメリカン・エキスプレス
アメリカン・エキスプレス(American Express)のコーポレートカードでは、カード1枚に対して最大5枚のETCカードを発行可能です。年会費は1枚あたり500円+税が必要なので、コスト面では三井住友カードやJCBには劣ります。
ただしアメリカン・エキスプレスのコーポレートカードには、世界各国の空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス」をはじめとして、様々な付帯サービスが搭載されています。
コーポレートカードの優待を重視する経営者様は、アメリカン・エキスプレスを検討してみてはいかがでしょうか?
UCカード
UCコーポレートカードでは、年会費無料のETCカードを、カード1枚に対して99枚まで発行可能です。こちらもETCカードを大量発行したい、運送業の会社などには便利。なおUCコーポレートカードのETCカードでは、ETC走行明細の記録をオプションで設定することが可能。
走行明細を記録できれば、社員の出張管理にも役立てやすいですね。
当オプションの利用料金は、要問い合わせです。
クレジット機能のない『ETCコーポレートカード』

ETCコーポレートカードにはクレジット機能はなく、クレジット機能のついたコーポレートカードを発行せずとも作れることが特徴。
ETCコーポレートカードは、NEXCO東・中・西日本が様々な協同組合と協力して発行するカード。発行するには、協同組合へ加入してから作るケースがほとんどです。
大口・多頻度割引制度を利用可
クレジット機能のついたコーポレートカードを発行せずとも作れるETCコーポレートカードには、もう1つ大きな特徴があります。それは、「大口・多頻度割引制度」と呼ばれる割引を利用できる点です。
さらに、ETCコーポレートカードで利用できる大口・多頻度割引制度の割引率には「車両単位割引」と「契約単位割引」の2種類があります。
車両単位割引の割引率
1ヶ月の利用金額/1台 | ETCの場合 | ETC2.0の場合※ |
---|---|---|
5,000円〜10,000円の部分 | 10% | 20% |
10,000円〜30,000円の部分 | 20% | 30% |
30,000円〜の部分 | 30% | 40% |
※ETC2.0の割引は2021年3月末まで
例えば、ETC2.0を搭載した社用車1台の1ヶ月あたりの高速道路の請求金額が50,000円であれば、割引率は次のようになります。
- ・5,000円〜10,000円の部分の割引額
⇒5,000円×20%=1,000円 - ・10,000円〜30,000円の部分の割引額
⇒20,000円×30%=6,000円 - ・30,000円〜の部分の割引額
⇒20,000円×40%=8,000円 - ・合計の割引額
⇒1,000円+6,000円+8,000円=15,000円
ただし、上記はあくまで単純計算の場合のシュミレーションです。
実際の割引額の計算はさらに複雑になっているため、ETCコーポレートカードの割引率について、詳しくはNEXCOへお問い合わせください。
契約単位割引の割引率
ETCコーポレートカードで利用できる大口・多頻度割引制度の契約単位割引では、割引率は次のように定められています。契約者の1ヶ月の割引対象一般有料道路のご利用額の合計が500万円を超え、かつ、契約者の自動車1台当たりの1ヶ月の割引対象一般有料道路の平均利用額が3万円を超える場合には、契約者の1ヶ月の割引対象一般有料道路のご利用額の合計に対し、5%の割引を行います。
出典:NEXCO東日本
https://www.driveplaza.com/traffic/tolls_etc/etc_dis_frequency/
社用車1台単位ではなく契約者のETCコーポレートカードが全てカウントされる点が、1つ目の車両単位割引と異なっています。
平日朝夕割引も利用可能
ETCコーポレートカードを使って有料道路を走行する場合、「平日朝夕割引」と呼ばれる割引制度も利用可能です。個人向けの平日朝夕割引もありますが、内容や割引適用の条件がやや異なりますので、ご注意ください。
なお、ETCコーポレートカードで利用できる平日朝夕割引と大口・多頻度割引制度の重複適用はできない、つまり併用は不可な点も注意しましょう。
ETCコーポレートカードのデメリット
クレカ付帯のETCカードでは受けられない割引制度を利用できるETCコーポレートカード。しかし、ETCコーポレートカードにはデメリットもあるので注意が必要です。ETCコーポレートカードのデメリットは、以下の通り。
- ・車1台につき1枚のカードが必要(使い回し不可)
- ・カード1枚ごとに年会費(600〜1,000円ほど)がかかる
- ・ETCレーンの通過速度が記録されており、速度超過をすると警告を受ける
また、どの協同組合で発行するかによっても変わりますが、1枚につき毎年およそ600〜1,000円ほどの継続手数料が必要になる点も覚えておきましょう。
加えて、ETCコーポレートカードはNEXCOが管理するカードです。そのため、ETCレーンを通過する際の情報が記録されていて、制限速度を超えた場合には後日警告される場合もあるので注意が必要です。
法人用クレジットカード付帯のETCなら使い回しが可能
ETCコーポレートカードでは車1台につき1枚のカードが必要な一方、クレジット機能のあるコーポレートカードに付帯するETCカードであれば、複数台の車でも使い回すことが可能です。また、年会費無料のETCカードを提供しているカード会社も多いので、この辺りが選ぶ際のポイントとなりますね!
どうやって選べばいい?選び方や違いを解説

法人用のETCカードには、下記のように大別して2種類が存在しています。
①クレジット機能のあるコーポレートカードに付帯して発行できるETCカード
②NEXCOが提供する『ETCコーポレートカード』
法人が事業用のETCカードを発行する場合、これら2種類のどちらを選ぶ方がメリットが大きくなるのでしょうか。
両者の選び方をごく簡単に解説すると、次の通りとなります。
・法人向けクレジットカードに付帯するETCカード
⇒クレジット機能のあるコーポレートカードを利用したい会社におすすめ
⇒運送業以外の業種におすすめ
⇒1枚のETCカードを複数台で使い回したい会社におすすめ
⇒年会費無料のETCカードを利用したい会社におすすめ
・クレジット機能のない『ETCコーポレートカード』
⇒クレジット機能のあるコーポレートカードは必要ない会社におすすめ
⇒運送業を営む会社におすすめ
割引制度が「大口・多頻度割引制度」と名付けられているように、数十台〜数百台という大量の社用車を抱えている会社には、ETCコーポレートカードがおすすめです。⇒クレジット機能のあるコーポレートカードを利用したい会社におすすめ
⇒運送業以外の業種におすすめ
⇒1枚のETCカードを複数台で使い回したい会社におすすめ
⇒年会費無料のETCカードを利用したい会社におすすめ
・クレジット機能のない『ETCコーポレートカード』
⇒クレジット機能のあるコーポレートカードは必要ない会社におすすめ
⇒運送業を営む会社におすすめ
大量の社用車が高速道路を頻繁に利用するようであれば、ETCコーポレートカードの割引制度はぜひ利用したいところです。
ただし、ETCコーポレートカードは1枚ごとに年会費がかかるので、その費用を払ってもなお割引がお得になる場合でなければ、コスト的にはマイナスになってしまうでしょう。
運送業など大量の社用車を抱えている会社でない限りは、クレジット機能のあるコーポレートカードに付帯するETCカードが適しています。
こちらのETCカードでは大口・多頻度割引制度こそ利用できませんが、個人が利用するのと同じ割引制度(休日割引や深夜割引など)は利用可能です。
なにより、クレジット機能のあるコーポレートカードに経費の支払いをまとめれば、経理業務の効率化を図れるメリットもあります。
法人向けETCカードの発行を検討している経営者様は、ぜひ上記の選び方を基準にして、導入をご検討ください。
付帯カード発行できるおすすめ法人用クレカ

ETC発行に対応している法人用クレジットカードには大企業向けと中小企業向けがあり、それぞれ特徴が異なります。
この項目ではETCの発行ができるそれぞれのクレジットカードを、次のように定義した上で解説してまいります。
- ・大企業向けの法人用クレジットカード⇒コーポレートカード
- ・中小企業向けの法人用クレジットカード⇒ビジネスカード
【大企業】おすすめコーポレートカード
ETCを発行できるおすすめのコーポレートカードは、「JCBコーポレートカード」です。JCBコーポレートカードは、誰もが知っているJCBブランドのプロパーカード。20枚以上の従業員カードを発行予定の、大企業を対象としたコーポレートカードです。
JCBコーポレートカードの最大の特徴は、従業員用の追加カードを何枚発行しても年会費が一律30,000円+税に設定されている点です。
全国各地の支店で使用するために大量の追加カードを発行したい経営者様なら、ぜひJCBコーポレートカードをご検討ください。
また、このカードなら従業員カードの発行枚数に関係なく、ETCカードを複数作成可能です。
コーポレートカードの中には「カード1枚に対してETCカード1枚」などの決まりがあるケースもあるので、JCBコーポレートカードならETCを複数枚作れるのは嬉しいですね。
さらに、発行できるETCカードは年会費無料。クレジット機能のないETCコーポレートカードだと1枚ごとに600〜1,000円ほどの年会費が必要でしたね。
そう考えると、コストがかからないETCカードを導入したい経営者様には、JCBのETCカードが非常におすすめなのです。
ただし、JCBコーポレートカードには致命的なデメリットがあり、通常のクレジットカードとは違ってポイントが一切貯まらない仕組みになっています。年間いくらの決済をしようとも、1ポイントたりとも貯まらないのは、かなり大きなデメリットですよね。
ポイントを貯められる法人向けクレジットカードをご所望でしたら、JCBコーポレートカードではなく次に紹介する「JCB法人カード」をご検討ください。
【中小企業】おすすめビジネスカード
次に紹介するJCB法人カードは、大企業を対象としていたJCBコーポレートカードと違って、中小企業を発行対象とする法人向けクレジットカード、いわゆるビジネスカード。JCBコーポレートカードと同様にETCカードを複数枚発行でき、ETCカードの年会費はもちろん無料。ETCカードを何枚発行してもコストがかからないので、ETCカードに関しては申し分のない実力です。
JCB法人カードであればカードの決済金額に応じて0.5%の還元率でポイントが貯まります。
貯めたポイントは会社の設備投資や備品購入に充てられ、経費削減に役立つことでしょう。
一般券面のJCB法人カードの場合、年会費は1枚あたり1,250円+税。全部で24枚のカードを発行した時点で、JCBコーポレートカードと同額の30,000円+税の年会費になる計算です。
裏を返せば、24枚よりも多くの追加カードを発行しないのであれば、JCBコーポレートカードよりJCB法人カードの方が年会費はお得になるということ。
ぜひ『24枚』というボーダーラインをもとに、JCBコーポレートカードとJCB法人カードをお選びください。
の詳細はこちら »
まとめ:自社に最適なコーポレートカードを

法人ETCカードには、クレジット機能のある法人カードに付帯するETCカードと、NEXCOが提供するETCコーポレートカードと呼ばれるカードがありました。
特に運送業を営む会社であれば、ETCコーポレートカードがおすすめ。
運送業以外の業種であれば、ETCコーポレートカードよりもクレジット機能のあるコーポレートカードに付帯するETCカードを選ぶ方がおすすめ。特におすすめのなのは「JCBコーポレートカード」と「JCB法人カード」の2種類です。
2種類の選び方は、カードを24枚以上発行したいのであればJCBコーポレートカードを。カードの発行枚数がそれ以下でOKなら、ポイントが貯められるJCB法人カードをお選びください。